羽根布団はねぶとん)” の例文
夫も私が眼を覚ましかけたのに気がついて私に羽根布団はねぶとんと毛布を着せ、枕元の螢光燈を消し、フローアスタンドのシェードの上に覆いを被せた。
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「車? 車はもう来ています」伯母はなぜか他人のように、叮嚀ていねいな言葉を使っていた。そこへ着物をあらためた妻も羽根布団はねぶとんやバスケットを運んで来た。
子供の病気:一游亭に (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
しばらく寝つかれないで、彼らは羽根布団はねぶとんの中でもぞもぞしている。おじさんがいう——
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
羽根布団はねぶとんというなら全部羽根布団だ。
渾沌未分 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
病人の着せられている臙脂色えんじいろに白い粗い市松模様を置いた、クレプ・ド・シンの嵩高かさだか羽根布団はねぶとんが思いきり派手なのと、露台への出口が一間の引き違いの硝子戸になっていて
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)