羽含はぐく)” の例文
羽含はぐくみ育て、朝に夕に、その伸びゆく姿を見るほど、世の中に心清くも、頼もしく、また愛を感じさせられるものはないからである。
独楽園 (新字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
馨が前橋へ出かけて行くのは、繼母に取つて、優しい庭鳥の羽含はぐくかへした家鴨の子が水の中へ逃げて行くやうな痛ましさがあるとは察しながらも、義雄はなほ弟の出來た戀には少しも反對が無かつた。
泡鳴五部作:01 発展 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
つらい世間の前に立つて、自分をあれ程までにいたはり羽含はぐくんでくれた亡き人の犠牲的な愛を思ふと、須磨子は堪へ難い思ひがしたに相違ない。
私達の魂がひとり空堂に安居あんごして、思惟の三昧に耽るとか、または宇宙の霊や艸木の精と黙語点頭するとかいつたやうな、何かしら秘密なものを羽含はぐくまうとする場合には
独楽園 (新字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
こひ』はひとりぞ羽含はぐくまめ。
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)