義父とう)” の例文
では友よ——義兄あにだったね! 君の父上平左衛門殿へ——そうそう僕にもお義父とうさんだったね? どうぞよろしくいってくれたまえ
剣侠受難 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
行商をしてお母さんを養っている気の毒なお義父とうさんを慰めてあげる事が出来るのだろうか……、何も満足に出来ない私である。
新版 放浪記 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
あたさわりないよう、暇を出してくれと云い残して、お義父とうさんは、出かけておしまいになりましたよ
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
義父とうさまのこと、手足も口も利けない気味の悪いお祖母さまのこと、それから四、五年まえに殺されたお母さまのことなど——よく知っているだけに、あたくし気になりますわ。
方子と末起 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
「お義父とうさんに対しても私、顔むけがなりません」と言ひかへした。
鳥羽家の子供 (新字旧仮名) / 田畑修一郎(著)
「小さい頃、私の義父とうさんも、路傍に店を出して、よく巡査じゅんさにビンタ殴られていたけれど——全く、これより以上私達にどうしろって云うのかしら?」
清貧の書 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
「よしておくれ。顔を見るのも嫌だから。お義父とうさんがそう仰っしゃったなら、おまえから、きょう限り暇を出すといって、帰してしまったらそれでいいではないか」
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「それにしても、まあ上がって、あしたの朝、よう義父とうさまにも、ご相談してみやい」
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一カ月程前に、お義父とうさんもお母さんも尾道へ戻っていると云うので、私はがっかりする。一晩やっかいになって、明日の早い汽車で尾道へ行くことにする。橋本は、義父の姉の家なり。
新版 放浪記 (新字新仮名) / 林芙美子(著)