群衆ひとごみ)” の例文
帽子の山からは釘が二三本頭を覗けてゐた。その男は釘仕掛を発見めつけられると慌てて帽子を脱いで小脇に抱へ込んだ。そしてセルロイド製のやうな禿頭をふりふり群衆ひとごみに紛れ込んだ。
そして、睡不足ねぶそくらしい充血した眼をくしやくしやさせて群衆ひとごみのなかに衝立つゝたつてゐる所は、誰が見ても物価騰貴の今日この頃、何をさしいても増給の必要がありさうな男に思はれた。