総毛立そうけだ)” の例文
旧字:總毛立
そして、彼が浅草公園で、とんがり帽と道化服をつけて立っていたと聞いた時には、何故かギョッとして、総毛立そうけだつ様な感じがした。
陰獣 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
そして、程なく滋幹は、父の足が止まったので、自分もピタリと歩みをとゞめた瞬間に、体じゅうが総毛立そうけだつものを眼前に見た。
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
萩原のうちで女の声がするから、伴藏がのぞいてびっくりし、ぞっと足元から総毛立そうけだちまして、物をも云わず勇齋の所へ駆込かけこもうとしましたが、怖いからず自分のうちへ帰り、小さくなって寝てしまい
鶴は、総毛立そうけだつ思いである。
犯人 (新字新仮名) / 太宰治(著)
そう思ったとき、河内介はよろいに蒸された肌の上がぞうッと総毛立そうけだつのを感じた。
その一と目が、浩一を電気のように撃ち、全身のうぶ毛が総毛立そうけだった。
女妖:01 前篇 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
そして、ふたりは、申しあわせでもしたように、同時にまっ白な歯をむきだして、あのゾッと総毛立そうけだつような笑いで、ケラケラケラと笑いました。読者諸君、それはふたりのインド人だったのです。
少年探偵団 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)