継母かあ)” の例文
旧字:繼母
そういうお継母かあさまだってあまりご立派じゃなかったわ……酔っぱらって、両方から一郎さんをひっぱりあっているところなんか、ちょうど、なにかみたい。
喪服 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
継母かあさんはあのとおり真向な、念々刻々の働き者だからいい人だと思うけれど、何しろあの毒舌にはかなわん。あれだけはしてくれるといいと思うがなあ。
贋物 (新字新仮名) / 葛西善蔵(著)
継母は自分を苦しめた私を、私はちょっともお継母かあさんを苦しめたことなんかありはしないのに、私が自分より幸福になることをひどく嫌がっているらしいの。
(新字新仮名) / 池谷信三郎(著)
今のお継母かあさんは、私がまだ三つか四つのころ、まだ意識がやっと牛乳のびんから離れたころから、もう、自分を見る眼つきの中に、限りない憎悪にくしみの光が宿っているって
(新字新仮名) / 池谷信三郎(著)
美紗 とめもしなかったわね、お継母かあさま……あたしたちや秋元さんまでダシに使って、どんな魂胆であんなパーティをやったか、あたし、なにもかも見ぬいているのよ。
喪服 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)