細銀杏ほそいちょう)” の例文
ある日寺田屋へ、結いたての細銀杏ほそいちょうから伽羅油きゃらあぶらの匂いをプンプンさせた色白の男がやってきて、登勢に風呂敷包みを預けると、大事なものがはいっているゆえ、開けてみてはならんぞ。
(新字新仮名) / 織田作之助(著)
見ると彼のかたわらには、血色のいい、中背ちゅうぜい細銀杏ほそいちょうが、止め桶を前に控えながら、濡れ手拭を肩へかけて、元気よく笑っている。これは風呂から出て、ちょうど上がり湯を使おうとしたところらしい。
戯作三昧 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)