簡牘かんどく)” の例文
簡牘かんどくは伊沢信平さんがわたくしに借してくれた二通の中の一つで、他の一つは此より後十四年、文政八年十二月十一日に裁せられたものである。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
文政十一年二月十九日に書いたということが、記事に拠ってあきらかに考えられる。ここに書いた五郎作の性行も、なかばは材料をこの簡牘かんどくに取ったものである。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
此蘭軒の妾も亦同じ家から出たのではなからうか。其名のさよをば、わたくしは茶山の簡牘かんどく中より始て見出した。要するに側室は佐藤氏さよと云つたのである。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
わたくしは此会合を説くにさきだつて一事の記すべきものがある。饗庭篁村あへばくわうそんさんは此稿の片端より公にせられるのを見て、わたくしに茶山の簡牘かんどく二十一通を貸してくれた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)