篆刻家てんこくか)” の例文
詩人には伊藤聴秋いとうていしゅう瓜生梅村うりゅうばいそん関根癡堂せきねちどうがある。書家には西川春洞にしかわしゅんとう篆刻家てんこくかには浜村大澥はまむらたいかい、画家には小林永濯こばやしえいたくがある。
向嶋 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
それから或篆刻家てんこくかは、——しかし彼等の犯した罪は不思議にも彼の苦しみには何の変化も与えなかった。のみならず逆に生そのものにも暗い影をひろげるばかりだった。
玄鶴山房 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
或る所で臆面おくめんもなくこの頃南画を練習していますなどと話をしたら、しばらくして、はんを作ったらどうだといって、丁度その頃札幌へ来ていた篆刻家てんこくかを紹介してくれた人があった。
南画を描く話 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
篆刻家てんこくかから返却して来たことがあったが、高い金を出して求めた品なので、捨てることもならず、長い間何処かに突っ込んであったのを、その後も折々見かけたものであった。
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
折ふしまた、篆刻家てんこくかのM翁が、ぶらっとやって来た。
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)