箱崎町はこざきちょう)” の例文
挙ぐれば中洲なかず箱崎町はこざきちょう出端でばなとの間に深く突入つきいっている堀割はこれを箱崎町の永久橋えいきゅうばしまたは菖蒲河岸しょうぶがし女橋おんなばしから眺めやるに水はあたかも入江の如く無数の荷船は部落の観を
おなじく二十日には、深川箱崎町はこざきちょうの木綿問屋、桔梗屋ききょうや安兵衛の娘のお花、これも十七歳。
顎十郎捕物帳:22 小鰭の鮨 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
箱崎町はこざきちょうの本宅へかえる若林を送って、土州橋の交番のあたりまで歩き、大抵そこで別れることにしていたが、交番の巡査も若林を見ると、お互いににっこりして挨拶あいさつするくらい、それは頻繁ひんぱんであった。
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
老夫婦はもと箱崎町はこざきちょうにいた金貸で、罹災の当日、逃げ迷った道すがら、おたみを助け、その郷里の桐生きりゅうって年を越し、東京に帰って来てから、引取る人の尋ねて来るのを待つ間
ひかげの花 (新字新仮名) / 永井荷風(著)