筵張むしろば)” の例文
八月なかばの夕日は孤城を囲んだ大軍のように筵張むしろばりの小屋のうしろまでひた寄せに押し寄せて、すこしのすきもあらば攻め入ろうと狙っているらしく
両国の秋 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
小屋は八つ山のがけの上、花時をけると、ひどく閑静な場所ですが、それでも街道から見通しで、高輪たかなわからも品川からも足場の良いところ、——そこにほう五間ほどの筵張むしろば
勿論、丸太に筵張むしろばりの観世物小屋同様のものであるが、その土地相応に繁昌していたのである。
半七捕物帳:54 唐人飴 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
小屋は筵張むしろばりの全く間に合はせの代物しろもの、泥繪の具で存分に刺激的に描いた、水中に惡龍と鬪ふ美女の繪を看板に掲げ、その下の二つの木戸口には、鹽辛聲の大年増と、二十五六の巖乘な男が
小屋は筵張むしろばりの全く間に合わせの代物しろもの、泥絵の具で存分に刺戟的に描いた、水中に悪龍と闘う美女の絵を看板に掲げ、その下の二つの木戸口には、塩辛声の大年増と、二十五六の巌丈がんじょうな男が