竿竹さおだけ)” の例文
「ええこいや鯉」というのも数年以来聞かないようである。「ええ竿竹さおだけや竿竹」というのをひと月ほど前に聞いたのは珍しかった。
物売りの声 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
花隈はなくまくまの子分らしいのが、たくさんな竿竹さおだけだのむしろだの、また蒲団だとか火鉢だとか、まるで引っ越し荷物ほど、何台かの車で運んで来て
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大利根博士は、竿竹さおだけのようにほそい体をいろいろに曲げては、飴細工のように曲ったり溶けたりしている軍艦淡路の艦体をいちいちていねいに見てまわりました。
怪塔王 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「僕、家へ行って竿竹さおだけもってくるから、まっててね」
智恵の一太郎 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
少年は、高いところにいている電灯の電球たまを、ねじって消すために、長い竿竹さおだけ尖端せんたんを、五つほどに割って、繃帯ほうたいで止めてある長道具ながどうぐを担ぐと、急いで駈け出していった。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)