竹箆返しっぺいがえ)” の例文
「君こそ少し気をつけるが好い」と自分は三沢に竹箆返しっぺいがえしを喰わしてやった。すると三沢は真面目まじめな顔をして「なぜ」と反問して来た。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
と安子夫人は早速竹箆返しっぺいがえしをする。摺った揉んだでナカ/\手間がかゝる。それからイヨ/\本式の御挨拶に移る。
好人物 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
だから、こっちで竹箆返しっぺいがえしに『ローリー坊や』と名前をつけてやったこと。……そのローリーさんがあぶなく溺死しかけたので、四人で筏に乗せて岸まで持って行ったこと。
キャラコさん:07 海の刷画 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
が、たちまち物売りに竹箆返しっぺいがえしを食わせたのち、すっかり巻煙草を買うことを忘れていたのを発見した。巻煙草も吸われないのは悲惨ひさんである。悲惨?——あるいは悲惨ではないかも知れない。
十円札 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
この間も其処此処で鹿に行き会うものだから、田鶴子さんは記念の為めにと言って、まさか今しがたの竹箆返しっぺいがえしでもあるまいが、清瀬さんと僕と数頭の鹿を一視同仁にキャメラに収めた。
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
それにもかかわらず、あにいに類似した言語は無論、尋常の竹箆返しっぺいがえしさえ控えたのは、——相手にならないと先方さき軽蔑けいべつしたためだろうか——あるいはこわくって何とも云う度胸がなかったんだろうか。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
と三輪さんは今しがたの竹箆返しっぺいがえしをした。
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)