竹柄杓たけびしゃく)” の例文
喉が渇いたものとみえ、水桶の竹柄杓たけびしゃくをさぐっていたが、桶の水もカンカンに凍っているのである。丈八は、柄杓で氷を割っていた。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
平吉はそれにも答えないで、おやじの手から竹柄杓たけびしゃくを引ったくるようにして、ひと息にぐっと飲んだ。
放し鰻 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「近頃はニュームが安うなってなァ、竹柄杓たけびしゃくもとんと駄目じゃ……」
冬枯れ (新字新仮名) / 徳永直(著)
小さい竹柄杓たけびしゃくが浮いたままにしずくに打たれている。
花物語 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
お杉ばばは今、駕かきの一人が、何処からか駈け足で持ってきた竹柄杓たけびしゃくの水をごくりと一口飲んでいた。それを、権叔父へ渡して
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さすがの酔っぱらいも、少しのどかわいてきたらしい。不意に台所へ立って、竹柄杓たけびしゃくからガブガブ音をさせて水を呑んで戻って来た。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
二尺ばかりの釈尊の黒い立像が天上天下を指さしている、小さな竹柄杓たけびしゃくをもって、その頭から甘茶をかけたり、また、参詣人の求めに応じて、順々にさし出す竹筒へ
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
自分たちのむしろの前に、小さい手桶に竹柄杓たけびしゃくが添えてある。この手桶は、むちで打ちすえる奉行所にも、一きくの情けはあるのだぞというように、無言のすがたを持ってそこにあった。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして竹柄杓たけびしゃくへ手をかけた時である。
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)