章魚だこ)” の例文
入口にはいつもの魚屋があつて、塩鮭しほざけのきたない俵だの、くしやくしやになつたいわしのつらだのが台にのり、軒には赤ぐろいゆで章魚だこが、五つつるしてありました。
山男の四月 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
これはあの草の茎の色とつやが、いかにもゆで章魚だことよく似ているから誰にでも附けられる名だと自分なども思っていた。多分友だちの一人がそういい出したのだろう位に考えていた。
そうかと思う、しるしを見せて下すった、天道様の思召おぼしめしじゃ、まんざら、熱海を海になすって、八兵衛だい、理右衛門がれい、鉄蔵ふぐ、正助章魚だこなんぞに、こちとらを遊ばそうというわけでもあるまい。
わか紫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
亀の子、泳いでいる大章魚だこ、あなご、ごんずい……大して面白い見せ物ではありません。併し、あの物凄い『猫鮫』だけは当館第一の怪物です。雄吉君は、長いことその前に立ち止っていました。
四月馬鹿 (新字新仮名) / 渡辺温(著)
入口にはいつもの魚屋があって、塩鮭しおざけのきたないたわらだの、くしゃくしゃになったいわしのつらだのが台にのり、のきには赤ぐろいゆで章魚だこが、五つつるしてありました。
山男の四月 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)