立退場たちのきば)” の例文
ただいざとならない以上はもどる気がしない。いわば立退場たちのきばのようなものである。三四郎は脱ぎ棄てた過去を、この立退場の中へ封じ込めた。
三四郎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
その人は箕作の親類で、私は兼て知て居るから、呉の処に行てどうかしばら此処ここ立退場たちのきばを頼むと相談も調ととのい、愈よ青山の方と思うて荷物は一切こしらえて名札を付けて担出かつぎだばかりにして
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
もどらうとすれば、すぐにもどれる。たゞ、いざとならない以上はもどる気がしない。云はゞ立退場たちのきばの様なものである。三四郎はてた過去を、此立退場たちのきばなかへ封じ込めた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)