ばかり)” の例文
実験機械というのは、ゼンマイばかり一つだけであって、それを馬と橇とを連絡する鎖の途中に入れて置くと、馬の牽引力がゼンマイの伸びで読めるのである。
(新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
安物の青羅紗ラシャ張りの書きもの机にオンスばかりと電気按摩あんま器が載せてある席があったり、渋塗の畳紙の口が開きかけて小切れが散らばりかけた席があったり、まだ
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
次にゼンマイばかりで物の目方をはかる場合を考えてみよう。不断に変化する宇宙全体が秤皿に影響してその総効果が収斂しなかったら一物の目方という定まった観念を得る事は出来まい。
方則について (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
彼はただなぐさみのために手紙ばかりを何度も手で押えつけていた。
火夫 (新字新仮名) / フランツ・カフカ(著)