福々ふくぶく)” の例文
仰向あおむけになって、じっとそのほしつめていますと、それが福々ふくぶくしいおじいさんのかおになってえました。おじいさんは、あたまに三かく帽子ぼうしをかぶっています。
酔っぱらい星 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ためているという風に見えましたね。そういえば、福々ふくぶくしい顔なんだけれど、どことなくきついところがあったな。やっぱり自分の悲惨な運命が、人相にあらわれていたんですよ
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
どんな災難もよりつけないような福々ふくぶくしい見かけであったかやの、何を求めるでもなく成行にしたがって生きていたようなまっとうな生涯、ちて倒れる古木のような自然さで最後を閉じ
(新字新仮名) / 壺井栄(著)
年は六十ばかり、肥満ふとった体躯からだの上に綿の多い半纒はんてんを着ているので肩からじきに太い頭が出て、幅の広い福々ふくぶくしい顔のまなじりが下がっている。それでどこかに気むずかしいところが見えている。
忘れえぬ人々 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)