祗役しえき)” の例文
柳湾は幕府の郡代田口五郎左衛門の手代てだいとなり飛騨ひだ出羽でわその他の地に祗役しえきし文化九年頃より目白台めじろだいに隠棲し詩賦灌園かんえんに余生を送った。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
是より前一年長子元協年既に二十、江戸に祗役しえきする為めに広島より至り、襄と京師に相遇ひ、江戸に至らば新に室を築いて父を迎ふべしと約せり。
頼襄を論ず (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
直ちに白河家しらかわけに参候し神祇伯資訓じんぎはくすけくに卿に謁し祗役しえきの上申をしてその聴許を得、同家の地方用人を命ぜられた。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
翌年春水の祗役しえきして江戸に在るや、襄屡〻書を広島より寄せて父の消息を問ふ、書中往々其詩を載す。春水が交遊する所の諸儒皆舌を巻きて其夙才しゆくさいを歎ぜり。
頼襄を論ず (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
蘆洲は某組の与力よりきであるので、あたかもこの年京師に祗役しえきし五月に至って江戸に帰った。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)