磽确ぎょうかく)” の例文
ほのかな麦の芽が、磽确ぎょうかくな地殻からおぞおぞと頭をもたげるのを見たとき、俊寛は嬉し涙にむせんだ。彼はひざまずいて、目に見えぬ何物かに、心からの感謝を捧げたかった。
俊寛 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
東京京都の人だけは知っておらぬらしいが、ゴロもゴウラも全国にわたって、かかる磽确ぎょうかく不毛の地をそう呼んでいる。起りは多分岩くら、くらししなどのクラであろう。
山逕さんけい磽确ぎょうかく、以前こそあれ、人通りのない坂は寸裂ずたずた、裂目に草生い、割目にすすきの丈伸びたれば、へびきぬけて足許あしもとは狭まって、その二人のわきを通る……肩は、一人と擦れ擦れになったのである。
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
が、岸壁の背後は、すぐ磽确ぎょうかくな山になっているらしく、小川とか泉とかが、ありそうに思えなかった。それでも、激しい渇きは、彼を一刻もじっとしていさせなかった。
俊寛 (新字新仮名) / 菊池寛(著)