碧眼あおめ)” の例文
可哀そうに、彼女はぐったりとあおのけに首を垂れ、その碧眼あおめは、眼瞼まぶたをあげられたまま、きょとんと私の方を見ています。
麻酔剤 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
この青眼虎の李雲という人物は、あだ名の如く、碧眼あおめ羅馬ローマっ鼻の若い西蕃人せいばんじんである。従って、ひげは赤く、四長やかで、しかも西蕃流撃剣の達人として沂州では評判な男であった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
眼の縁はうすくくろずんだけれど、哀愁をたたえた底知れぬ深さの碧眼あおめが不釣合なほど大きく見えて、それが僅かに顔の全体を明るくしているようだ。
碧眼 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
碧眼あおめの女よ」
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ちょいと碧眼あおめさん、今日の皮切りは素敵だったわねえ。でも、厭な気持ちがしたでしょう、何ぼ何でもね」
碧眼 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
それに、先刻さっきあんなに優しかった碧眼あおめが急に険しくなって来たので、私ははらはらした。と、彼もすぐ私の驚きに気づいたらしく、気をかえて去りげなく云いなおした。
以前の美くしかった時分、ほんとうに『碧眼あおめ』だった時分には、見る人を惚々ほれぼれとさせたものだが、もうすっかり変ってしまった。今は単に憫憐あわれみの対象にしか過ぎないのだ。
碧眼 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)