碧々へきへき)” の例文
碧々へきへきたる湖上に浮んで居るところの朦朧もうろうたる山脈の間から正月二十六日の弦月が上りかけたその美しさ……かすかなる光が湖面に映って何となく凄味すごみを帯びて居りますが
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
秋空碧々へきへきとして澄み渡った中天にさえまさり、宵風そよぐみぎわのあたり月光しぶく弁天の森、池面いけもに銀波金波きらめき散って、座頭の妻の泣く名月の夜は、今がちょうど人の出盛りでした。
池の形は八葉蓮華はちようれんげの花の開いたごとく八咫やたの鏡のうねうねとうねって居るがごとく、そうして湖中の水は澄み返って空の碧々へきへきたる色と相映じ全く浄玻璃じょうはりのごとき光を放って居る。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)