石槽いしぶね)” の例文
路に沿うて、多くの場所では、美味な冷水が岩からあふれ出し、馬や牛の慰楽のためにその水を受ける、さっぱりした、小さな石槽いしぶねが置いてある。
「か」の字川の瀬の中に板囲いたがこいをした、「独鈷とっこの湯」と言う共同風呂がある、その温泉の石槽いしぶねの中にまる一晩沈んでいた揚句あげく心臓痲痺しんぞうまひを起して死んだのです。
温泉だより (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
石槽いしぶねの中にまる一晩沈んでゐた揚句、心臟麻痺を起して、とうとう自殺を果したといふ、六尺餘りの大男の、いかにもヒュモラスなうへに何處となく無氣味なところのある話に
「浴泉記」など (旧字旧仮名) / 堀辰雄(著)