矯激きょうげき)” の例文
先生は、意味は判らないまゝに、たゞ父親の矯激きょうげきな気持だけを文章の調子によって胸の中に張り膨らませられた。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
ボル派に追いまくられての、ややヤケっぱちな矯激きょうげき行為——現在から見れば、そういうところもあるけれど、ボル派の奴らがそう言ったりすることは許せない。
いやな感じ (新字新仮名) / 高見順(著)
「いつぞやの御猟みかりの節、何故、曹操に対して、あのようなまなざしを向けたか。誰も気づかぬ様子であったからよいが、近頃、其方にも似合わぬ矯激きょうげきな沙汰ではないか」
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「へへへ、御串戯ごじょうだんで。御議論がちと矯激きょうげきでごわりましょう!」
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
かれの、粗暴で矯激きょうげきな性情と、ゆたかなる学才とが、のべつ一個の中に取ッ組んでいて、盛遠自身、自分をもてあましているような風が、いつも、はらはらながめられる。