矢鏃やじり)” の例文
そうして、森からは弓材になるまゆみつきあずさが切り出され、鹿矢ししやの骨片の矢の根は征矢そや雁股かりまたになった矢鏃やじりととり変えられた。
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)
李は嚢にあらん限りの薬をかれらにも施すと、いずれも奪い合って飲みましたが、それは怖ろしい毒薬で、怪鳥や猛獣をたおすために矢鏃やじりに塗るものでありました。
矢鏃やじりのあとの血の痛手。
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
俄かに耳が激しくかゆくなったので、彼はその矢鏃やじりで耳を掻いていると、突然にうしろの壁の一部がくずれて来て、その右のひじの上に落ちかかったので、矢鏃は耳の奥へ深く突き透った。
矢鏃やじりに塗って、不弥うみの者を我らはめる。」と彼らの一人は彼に答えた。
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)