眩迷げんめい)” の例文
けれども、その神秘な眩迷げんめいの発作はそれきりではなかった。また幾度も起こった。ただ最初ほどの強烈さはもうもたなかった。
深遠な推論は眩迷げんめいをきたすものである。司教が神秘な考察のうちに頭をつき込んだしるしは何もない。使徒たる者は大胆なるもいい、しかし司教たるものは小心でなければならない。
彼の精神激昂げきこうは少しも減退せずむしろ募っていったが、しかしそれはもはや精神の危険な眩迷げんめいでなく、力に狂った身と魂の、全存在の、健全な陶酔であった。
そういう無意識的な二重の不断の状態は、日常生活が眠りに入って、スフィンクスの眼が、「存在」の多様な面貌めんぼうが、睡眠の深淵しんえんから浮かび上ってくる眩迷げんめいの瞬間に、よく現われてきた。