眞當ほんたう)” の例文
新字:真当
「その通りだよ、八。眞當ほんたうのことを言ふと、主人の清兵衞を殺したのは與之松だが、伜の清五郎を殺したのは、與之松ぢやなかつたんだ」
銭形平次捕物控:180 罠 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
胸の中には絶望の聲——「今度こそ眞當ほんたう代人かはりが來た。きさまの運命は今日限りだ! アト五時間だ、イヤ三時間だ、二時間だ、一時間だツ!」
病院の窓 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
「主人は歸されたが、眞當ほんたうの下手人の擧らないうちは、世間の人は白い眼で見ますから、老木屋は火の消えたやうですよ」
眞當ほんたうの裸體は客に見せませんでしたが、錢形平次が活躍して居る頃の江戸には、そんな取締規則などはありません。
納めるところへ納め、拂ふところへ拂はないうちは、檀家で兩替屋の私が心配だからと、——その心配が眞當ほんたうになつて、惡い事は妙に言ひ當てるものですね
銭形平次捕物控:274 贋金 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
淺五郎はお町に逢つたのは眞當ほんたうで御座いますが、それからズーツと、寺島新田の叔母の家に居りました。長命寺境内と申したのは遠方へ行くのはおゆるしがむづかしいと思つたからで御座いませう。
眞當ほんたうの下手人は、永久に現はれずに濟んだかも知れません。