相剋あひこく)” の例文
懊悩おうのうとしてうきへざらんやうなる彼の容体ようたい幾許いくばくの変も見えざりけれど、その心に水と火の如きものありて相剋あひこくする苦痛は、ますます募りてやまざるなり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
その業務として行はざるべからざる残忍刻薄を自らふる痛苦は、く彼の痛苦と相剋あひこくして、そのかんいささおもひを遣るべき余地をぬすみ得るに慣れて、彼はやうやく忍ぶべからざるを忍びて為し
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)