盛夏まなつ)” の例文
それは盛夏まなつのことで、その妾は朝顔の模様を染めた浴衣を着ていたとかというので、その以来、朝顔が不思議にこの屋敷にたたるのであった。
半七捕物帳:11 朝顔屋敷 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
鳥が飛び過ぎると忽ちにちるというので、その樹にはせいがあると伝えられていたが、寿がそれにも法を施すと、盛夏まなつにその葉はことごとく枯れ落ちて
盛夏まなつのあいだは一時中絶したらしい槍突きが、涼風すずかぜの立つ頃から又そろそろと始まって来て、九月の末頃には三日に一人ぐらいずつの被害者を出すようになったので
半七捕物帳:18 槍突き (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
それは九月の彼岸前で、日の中は盛夏まなつのようにまだ暑いが、暮れるとさすがに涼しい風がそよそよと流れて、縁の柱にはどこから飛んで来たか機織はたおり虫が一匹鳴いていた。
探偵夜話 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)