皮革かわ)” の例文
南部馬だの、鉄だの皮革かわだの、又砂金などを小田原へ売り込みに来る奥州船は、帰りには、織物雑穀などを仕入て、御幸浜みゆきがはまからいかりを抜く。
篝火の女 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「そうしたらお二人は、貴方のトランクの中に在る、鉛のたまを繋いだ皮革かわの鞭で打ち殺されてしまわれるでしょう」
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
正面の太い円柱の陰から、蝙蝠こうもりのようにヒラリと空虚な舞台へ飛び出したものがあった。皮革かわで作ったような、黄色い奇妙な服を着た痩せこけた男だった。
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
皮革かわ類と女の汗の乾く臭いであり、誰でもとの交友と・ダンスと・カクテルパアティと・スキイの遠出と・夜ふけのホテルとであり——だから、男振り自慢の巴里パリーの床屋は
踊る地平線:11 白い謝肉祭 (新字新仮名) / 谷譲次(著)
困っちゃって、ボクスか何かの古い皮革かわのケースに入れたまんま向うの棚の片隅に置いといたんです。
悪魔祈祷書 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
右の手には美術家がかむるような縁の広い空色羅紗の中折帽に、その頃はまだ流行はやらなかった黒皮革かわ飾紐リボンを巻いたのを提げて、左手には水のようなゴム引き羽二重はぶたえ雨外套レインコートとキッドの白手袋と
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
皮革かわの鞭、「あやかしの鼓」——何という謎のような世界であろう。
あやかしの鼓 (新字新仮名) / 夢野久作(著)