百夜もゝよ)” の例文
百夜もゝよしぢはしがきに、今や我も數書かずかくまじ、只〻つれなき浮世とあきらめても、命ある身のさすがに露とも消えやらず、我が思ふ人の忘れ難きを如何いかにせん。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
行平どのは根が公卿育ちの芋の煮えたも御存じなきノホヽンだから今度は御自身毎日車に召して深草の百夜もゝよ通ひも物かはと中々な御熱心であつた。何しろ身分は伯爵の公達きんだちである。
犬物語 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
稽古の窓に向つて三諦止觀さんたいしくわんの月を樂める身も、一てう折りかへす花染はなぞめ幾年いくとせ行業かうげふを捨てし人、百夜もゝよしぢ端書はしがきにつれなき君を怨みわびて、亂れくるし忍草しのぶぐさの露と消えにし人
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)