白毫はくごう)” の例文
その間に、父義朝や家人けにんむれからはぐれてしまったものであろう。わずか十間か二十間もへだてると、もうお互いの姿も見えない白毫はくごう霏々紛々ひひふんぷんなのだ。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
不意に消魂けたたましい女の叫びが、如意輪寺裏の幽寂ゆうじゃくの梅林につんざいた。——もう散り際にあるもろ梅花うめは、それにおどろいたかのようにふんぷんと飛片ひへんを舞わせて、かぐわしい夕闇に白毫はくごうの光を交錯こうさくさせた。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)