痴者ちしゃ)” の例文
伊東入道のじょ八重姫に恋なされたかと思えば、亀の前に移り、北条殿の深窓へも文を通わされる。……何たる痴者ちしゃ。……傍目はためにすら、舌打ちが出る。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「——されば、それがしは先年、楚城の夜宴で、王の寵姫に冠の纓をもぎ取られた痴者ちしゃです」
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして、袈裟の美しさに、光りのちがう美しさを見た。もし、一歩をかえて、自分が菖蒲小路にひかれていたら、自分も盛遠と同じことをやったにちがいないと思う。痴者ちしゃ、狂者。