病者ばうざ)” の例文
中にふすまかづきて臥したるは、わがごとき病者ばうざならむとおもへば、あはれ湯などあらば飲ませまほしとぞおもふ。こゝはしも火の見ゆることなければ、少しは心落ちゐぬ。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
病者ばうざの心地や悪しからむ、振出ふりだしてふ薬飲ませばやと、常にくすりあはするかたに往くに、こはいかに棚落ちて箱どもの薬ちり/″\になり、百味箪笥といふものさへ倒れぬれば
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)