畝歩せぶ)” の例文
伊那の谷を一望の中にあつめることのできる山吹村の条山じょうざん(俗に小枝山こえだやまとも)の位置をえらび、九畝歩せぶばかりの土地を山の持ち主から譲り受け
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
その一つはすでに崩れているが、他の一つは約一畝歩せぶ、四周の樹林地の中にこれだけが土地台帳で別筆となって、その分を開いて麦か何かがいてあった。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
そうですな。ええ百二十七町四段二畝歩せぶなりです。ところがこれっぱかりの地面をあなたがこの山の中にお持ちになっていたところで万事に不便でもあろうかと……これは私だけの考えを
親子 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
そのとき、彼等の船が此の山脈へ衝突した。突きあたった跡がいまでも残っている。山脈のまんなかごろのこんもりした小山の中腹にそれがある。約一畝歩せぶぐらいの赤土のがけがそれなのであった。
魚服記 (新字新仮名) / 太宰治(著)
しかせずして手重きところにかかり、時日を費す時は、わずかの畝歩せぶのために、総体の田畑順々手入れおくれて、大なる損となるなり。国家を興復するもまたこの理なり。知らずんばあるべからず。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)