田人たびと)” の例文
おそらくは最初或る特殊の作業の日だけに、こういう食物を調えて田人たびとをねぎろうていた習慣が、追々に拡張してきたものであろう。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
日本のもっとも古い書物の中にも女が田人たびとに食べ物を持って行くという話がのせられている。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
大同三年(八〇八年)に成ると伝うる『古語拾遺こごしゅうい』の終りの一節、大地主神おおちぬしのかみが田を営み、牛の肉を田人たびとに食べさせた罰によって、いなごの害を受け苗葉なえはたちまち枯れ損じたという条に
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
「村」という雑誌に書いた「苗忌竹なえいみたけの話」は、不十分ながらそれを説こうとしたものであった。島根広島二県の間に行われる大田植には、サゲと称する田人たびと頭取とうどりが、高い杖を携えて出場する。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)