瑕物きずもの)” の例文
さなきだに種々の噂をたてられている娘が、いよいよ瑕物きずものになってしまわなければならない。山城屋の暖簾のれんにも疵が付かないとも云えない。
半七捕物帳:13 弁天娘 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
年の若いうちに度々そんなことはあったっけ、僅かの金で小吉を瑕物きずものにはできぬ故、何とか了簡りょうけんしてみてやれと言った。
あゝーず無事で安心を致した、是れは八年ぜんに是れだけ毀したのを金粉繕ふんづくろいにして斯うやってある、しか残余あと瑕物きずものにしてはならんから、どうかちゃんとそんして置きたい
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
瑕物きずものになつたと見えた紙をものにし直したのも、何となく気持がよかつた。
南京六月祭 (新字旧仮名) / 犬養健(著)
この書物をこんな具合に瑕物きずものにしておった理由はただ一つしかない。
あるいはそれがいろいろの邪魔になって、さなきだに縁遠い娘を一生瑕物きずものにしてしまうおそれがないともいえない。
経帷子の秘密 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)