珠数ずず)” の例文
旧字:珠數
岸本は節子に珠数ずずを贈った。幾つかの透明な硝子のたまをつなぎ合せて、青い清楚せいそ細紐ほそひも貫通とおしたもので、女の持つ物にふさわしく出来ていた。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
木彫りの羅漢らかんのように黙々と坐りて、菩提樹ぼだいじゅの実の珠数ずず繰りながら十兵衛がらちなき述懐に耳を傾け居られし上人、十兵衛がかしらを下ぐるを制しとどめて、わかりました、よく合点が行きました
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
入口の片隅かたすみには、故国くにの方の娘達にしてもよろこびそうな白と薄紫との木製の珠数ずずを売る老婆ばあさんがあった。その老婆も仏蘭西人だ。岸本は本堂の天井の下に立って見た。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
珠数ずずだけが無かった。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)