玲々れいれい)” の例文
こう言ってお銀様は、またも雲霧の中に突き進んでしまうと、以前の如く、玲々れいれいとして爽やかな鈴の音が聞えはじめました。
大菩薩峠:35 胆吹の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
のみならず師泰は、天王寺塔の九輪の宝鈴ほうれいを一つつぶして、こころみに酒の鑵子かんす(ちろり)に造らせてみるに、玲々れいれいたる金味かなあじがあり、これでかんをすると何ともいえぬ芳味があった。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
唖然あぜんとして、そのたくさんな顔も、やがてくつやわらじをわれがちに穿き込んでいた。そして泰岳の上ではもう暁をやぶる一番のときの太鼓につづいて、玲々れいれいと鳴る神楽しんがくかすみのうちにこだましていた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)