獣蝋じゅうろう)” の例文
そして、竹童はそのまえにつかれたからだをすえ、咲耶子はうちしおれて、紫蘭しらんのかおる黒髪くろかみを、あかい獣蝋じゅうろうのそばにうつむけていた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
つれこまれた伊那丸いなまるは、やがて、首領しゅりょうの小角の前へでた。獣蝋じゅうろうしょくが、まばゆいばかりかがやいている大広間は、あたかも、部将ぶしょうの城内へのぞんだような心地がする。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして、獣皮じゅうひ獣蝋じゅうろう膏薬こうやく角細工つのざいく馬具革ばぐがわ、袋ものなど、あらゆる獣産物じゅうさんぶつを売っている。
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)