猿之助えんのすけ)” の例文
私が新吉を知ったのは、愛妾をやめたあとだから、幾分ヤケですさんでいたが、当代の市川猿之助えんのすけの顔を優しくして、背を高くしたらどこか似てくるものがあるひとだった。
モルガンお雪 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
高麗蔵こまぞう家橘かきつなどが加入して、一番目に「黄門記こうもんき」、中幕に「楠正成くすのきまさしげ」、二番目に「松田の喧嘩」を出し、十一月には左団次一座に芝翫しかん猿之助えんのすけ、源之助が加入して、一番目に「碁盤忠信ごばんただのぶ
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
松竹は芸術座を買込み約束が成立すると、そのさきがけに明治座へ須磨子を招き、少壮気鋭の旧派の猿之助えんのすけ寿美蔵すみぞう延若えんじゃくたちと一座をさせ、かつてとかく物議ぶつぎたねになった脚本をならべて開場した。
松井須磨子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
現今いまの左団次の伯父さんの中村寿三郎じゅさぶろうや、吉右衛門きちえもんのお父さんの時蔵や、昨年死んだ仁左衛門にざえもん我当がとうのころや、現今いまの仁左衛門のお父さんの我童がどうや、猿之助えんのすけのお父さんの右田作うたさく時代、みんな、芸も