犬牽いぬひ)” の例文
そして犬の血のついたままの脇差を逆手さかてに持って、「お鷹匠衆たかじょうしゅうはどうなさりましたな、お犬牽いぬひきは只今ただいま参りますぞ」と高声たかごえに言って、一声こころよげに笑って、腹を十文字に切った。
阿部一族 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
五助は二人扶持六石の切米取りで、忠利の犬牽いぬひきである。いつも鷹狩の供をして野方のかたで忠利の気に入っていた。主君にねだるようにして、殉死のお許しは受けたが、家老たちは皆言った。
阿部一族 (新字新仮名) / 森鴎外(著)