物像もののかたち)” の例文
微塵みじんも殺伐の気のないことで、剣というよりも、名玉を剣の形に延べた、気品の高い、匂うばかりに美しい、一つの物像もののかたちといわなければならないことであった。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
でもその彼の、頭の辺や足の辺や左右やに、白く散在している物像もののかたちは何んだろう? 人間の骸骨であった。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
周囲まわりの、叫喚さけびごえ怒号どなりごえ剣戟けんげきの響きを嘲笑うかのように、この、多量に人間の血を浴びた長方形の物像もののかたちは、木立ちと木立ちとの間に手を拡げ、弛んだ裾で足を隠し、静かに立っている。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)