“もののかたち”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
物象66.7%
物像33.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
海の底かのように、庭は薄蒼く月光に浸っていた。庭は、まことに広く、荒廃れていた。庭の一所に、頼母の眼を疑がわせるような、物象もののかたちが出来ていた。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
月は澄みきった空に漂い、その光は物象もののかたちを清く蒼白く、神々しい姿に照らしていた。
仇討姉妹笠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
おお何んたる奇怪な物象もののかたちが現われて来たことであろう! いざり車が、耳の下まで白髪を垂らした老人を乗せ——老人が自分でいで、忽然と、植え込みの前へ、出て来たではないか! やがて
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
微塵みじんも殺伐の気のないことで、剣というよりも、名玉を剣の形に延べた、気品の高い、匂うばかりに美しい、一つの物像もののかたちといわなければならないことであった。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
でもその彼の、頭の辺や足の辺や左右やに、白く散在している物像もののかたちは何んだろう? 人間の骸骨であった。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
周囲まわりの、叫喚さけびごえ怒号どなりごえ剣戟けんげきの響きを嘲笑うかのように、この、多量に人間の血を浴びた長方形の物像もののかたちは、木立ちと木立ちとの間に手を拡げ、弛んだ裾で足を隠し、静かに立っている。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)