爪痕そうこん)” の例文
大絶壁の一端に、深さ一丈に近い洞窟が穿うがたれていた。それは、ほんの小さい洞窟ではあったが、市九郎の強い意志は、最初の爪痕そうこんを明らかに止めていた。
恩讐の彼方に (新字新仮名) / 菊池寛(著)
顔に王の爪痕そうこんとどめて死したりといふ、おそろしき知らせに、あくる十四日ミュンヘン府の騒動はおほかたならず。
うたかたの記 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)