燃殻もえがら)” の例文
炉の中の紙屑は消えて黒い燃殻もえがらになり、テエブルの上に飾ったものは、鞄の中にあった時のように古ぼけて、床に散らばっていました。
重い輪止わどめが車輪にかけられて、馬車が雲のような砂埃すなぼこりを立て燃殻もえがらのような臭いをさせながら丘を滑り下っている時、真赤な夕焼は急速に薄くなって行った。
おや今度もまた魂胆こんたんだ、なるほど実業家の勢力はえらいものだ、石炭の燃殻もえがらのような主人を逆上させるのも、苦悶くもんの結果主人の頭が蠅滑はえすべりの難所となるのも
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ぬっと門口かどぐちを出た二人連ふたりづれの中折帽の上へ、うまい具合に燃殻もえがらが乗っかった。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)