焮衝きんしょう)” の例文
ある種の焮衝きんしょうから起こって人体のうちにできてくるあの皮膜のように、各種の秘密結社の網の目は全土にひろがり始めていた。
突然私の顔の右側に、あたってきたものがありました。すると、その部分に焮衝きんしょうが起って、かっと燃え上ったように熱っぽく感じました。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
まだ焮衝きんしょうが残っているらしく、こころもち潮紅ちょうこうしたまましなつぶれていて、乳首とあばらとを間近く引き寄せた縫い目の処には、黒い血のかたまりがコビリ着いたまま
一足お先に (新字新仮名) / 夢野久作(著)
田舎を旅行していると、このような旅廻りの床屋がある程度まで原因となっている眼病の流行に気がつく——白障眼そこひ焮衝きんしょうを起した眼瞼まぶた、めっかち、盲人等はその例である。
実際じっさいわたしは胸にはげしい焮衝きんしょう(焼きつくような感じ)を感じた。病気は肺炎はいえんであった。
暗黒星に突き破られた太陽の傷口が、恐ろしい焮衝きんしょうを起こして火炎を吐くのだ。
暗黒星 (新字新仮名) / シモン・ニューコム(著)
ほとんど音が意識出来ないほど、むしろ器官の限度を超絶したものが襲い掛ってきて、それが内耳に、燃え上るような焮衝きんしょうを起したのだよ。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)