焦躁じれ)” の例文
今晩なぞとは手ぬるいぞ、と驀向まつかうから焦躁じれを吹つ掛けて、飲め、酒は車懸り、猪口ちよくは巴と廻せ廻せ、お房外見みえをするな、春婆大人ぶるな
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
ややもすれば年老としおいて女の役の無くなるころのぞむと奇妙きみょうにも心状こころ焦躁じれたり苛酷いらひどくなったりしたがるものであるから、この女もまたそれの時に臨んでいたせいででもあろうか
雁坂越 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
誰でも彼でもすぐに遊びによこすよう、という片手間にぐいぐい仰飲あおる間もなく入り来る女どもに、今晩なぞとは手ぬるいぞ、とまっ向から焦躁じれを吹っかけて、飲め、酒は車懸くるまがか
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)