無益やくざ)” の例文
と言つて勝手に取り上げてしまつた。もと/\加茂の二葉葵には長い葉茎はぐきがくつ附いてゐるのだが、清康はそんな物は無益やくざだといつて摘み切つてしまつた。
この無益やくざ心的要素マインドスタッフが何れ程まで修練を加えたらものになるか、人生に捉われずに、其を超絶する様な所まで行くか、一つやッて見よう、という心持で、幾多の活動上の方面に接触していると
予が半生の懺悔 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
右手といふものは、安月給を受取るとか、脂ぎつた女の手を握るとか、そんな無益やくざな事しか出来ないものなのだ。
得て無益やくざな事ばかり書きたがる歴史家は、この小さな腹の出来事については何一つ書き残してゐない。
そして曲角カアブにかゝると無益やくざな人形を振り落さうとでもするらしく、そのたんびにお客は横へけし飛びさうになつたが、唯一人大久保氏のみは、へんもない顔で衝立つてゐる。
それは原氏が旅へ出ると、いつも無益やくざな買物ばかりするので、成るべくそばにゐてだてして欲しいといふ事なのだ。高橋氏は頭のなかに、原夫人の険しい顔を思ひ浮べた。
この事は人間よりも魚の方によく披露しておき度いものだ。もしか鮎や、鰻のやうな無益やくざな魚が、ひよつくりはりにかからうものなら、露伴氏は腹立紛れに鰻よりもずつと長い詩を作るかも知れない。
石塊いしころのやうに無益やくざなものに思はれて来る。