無瑕むきず)” の例文
珊瑚珠さんごじゅは沢山輸入されて居るが日本のように無瑕むきずの物は少なく虫のったような物が多い。それでもチベット人は好んで付けます。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
地震はそのんでは起り、起ってはんだ。町筋ごとに損害の程度は相殊あいことなっていたが、江戸の全市に家屋土蔵の無瑕むきずなものは少かった。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
割って埋めたか、無瑕むきずのまま埋めたかという——あの一件を平次は指すのでしょう。
れば既に半右衞門の妻では無く、離縁したも同じ事で、離縁したおんな仮令たとえ無瑕むきずでも、長二郎のために母で無し、まして大悪無道、夫を殺して奸夫を引入れ、財産を押領おうりょういたしたのみならず
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ついに紙の終りまで書いたかと思うと、無瑕むきずな紙面に大きなインキのしずくが落ちかかった。——すると彼は耳を引張られた。わっと泣き出した。しかし紙に汚点がつくので泣くことも許されなかった。
見事な凝脂は肩から滑ってトロリと淀んで、腋の下から肘関節の桃色に流れる美しさは想像も及ばぬ魅力ですが、そこもまた無瑕むきずの壁で賽の目の入墨などという汚らしいものはありません。
「そこで一つ、駒三郎か元助に、これだけの事を訊いて来てくれ、——瓢々斎は瓢箪を供養するのに、無瑕むきずのまま埋めたか、それとも後で掘り出して使わないように、いちいち割るか切るかしたか」